ゆりら文庫

創作小説ブログ

もしも私が「夢十夜」を書いたら ~第十夜(最終回)

最寄り駅で荷物を持ち、電車を待っている。傍らには友人が一緒にいる。彼女とは中学から高校までの学校生活を共にした、たいへん気心の知れた仲である。

やがて客車を引いた蒸気機関車が、その黒い巨体をガシュガシュとうならせて駅に入って来る。客車には前と後ろにドアが付いており、自分たちは後ろのドアから乗車した。座席は二人掛けのものが通路を挟んで二列に、全て進行方向を向くように据えられている。しばし空き席を探した後、向かって右側の座席に二人並んで座り荷物を下ろした。自分は通路側、友人は窓側である。やがてドアが閉じられ、機関車が汽笛を一声響かせゆっくりと動き始めた。と思った時に目は覚めてしまった。

あの時機関車はどこに向かっていたのか、考えてみれど分からない。きっと行き先は現実だろう。