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ゆりら文庫

創作小説ブログ

もしも私が「夢十夜」を書いたら ~第七夜

自宅の二階の寝室にいる。何やら無性に空が飛びたくなって、一心にその場で跳び上がることを繰り返していた。いくら力の限り両足で踏み切ってみても、身体は重力に従って落ちるばかりである。

それが何も変化しないことを知り、飽きて兄の部屋に踏み込んだ時だった。身体がふわりと確かに宙に浮いた。ただ歩くために必要なだけ踏み切った少しの力でも、部屋の中ほどまでの高さまで身体が浮き上がった。

足が床についた後、部屋を出ることにした。一度自分の四肢をいっぱいに広げ、心ゆくまで浮遊感を堪能したいと思った。それで隣の自室に出て、助走をつけて兄の部屋に飛び込んだ。しかし、どうも部屋が無重力でなくなったらしく、自分は無防備な顔面を強打した。痛みはない。ただ残念だとの思いで兄の部屋を出ようとした時、部屋の隅に、幼い頃にテレビの子ども番組に出ていた着ぐるみのキャラクターが小さくなったものが浮いていた。そういえば彼女も、空を飛びたいとその童心で願っていた気がする。