読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ゆりら文庫

創作小説ブログ

もしも私が「夢十夜」を書いたら ~第四夜

なんでもそこは薄暗い劇場らしく、わずかに傾斜のついた広い屋内に、座席がたくさん並んでいる。その座席の列を二、三列挟んだ向かいに、細身の女が立っている。年の頃は自分より幾分上であろうが、極めて若々しかった。艶やかな長髪を後ろで一本に束ね、パリッとしたスーツに身を包んでいる。自分の左には白いYシャツを着た男がいて、彼とともにステージ側の女と睨み合いを続けていた。

撃ち合い寸前のピリピリした空気。早く動かねば撃たれる。そう思って急いで近くの物を拾い上げて構えた。しかしそれは、飲み物を入れておくドリンクキーパーであった。敵と思われる女は自分に、呆れたという様子の表情を向けるより他無かった。

すぐに味方の男が、本物の武器がこちらにあると促した。そちらに近づいて手に入れたのは、バズーカタイプの水鉄砲であった。右肩に乗せるように構え、照準を覗き込みながらレバーを引くと、シャワーのように水が発射された。射程距離は優に5mを超えていたと思われる。その砲撃を女に向かって放つと、女は笑いながらおろおろと逃げ惑った。それが先ほどまでの女の様子とあまりに違いすぎて滑稽なことこのうえなく、自分はさらに追い打ちをかけた。